法定相続分は『絶対』なのか?~誤解されがちな相続のルール~
相続の相談を受けていると、「法定相続分は絶対に従わなければいけないのですよね?」という質問をよく耳にします。
民法でしっかり割合が定められているため、揺るぎないルールのように見えるかもしれません。
しかし、法定相続分はあくまで原則であり、『必ずその通りに分けなければならない』というものではありません。
まず初めに、法定相続分とは、遺言がない場合に、誰がどの割合で相続するかを示した法律上の基準のことをいいます。
例えば、相続人が配偶者と子であれば「配偶者 1/2、子ども全員で 1/2」が法定相続分として定められています。
とはいえ、それぞれの家庭ごとに事情が異なります。親と同居し介護を続けてきた子がいる家庭もあれば、事業を承継している子がいる場合もあり、必ずしも法定相続分どおりに分けることが『公平』とは限りません。
そこで法律は、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)によって、自由に分け方を決められるようにしています。
極端な話、特定の相続人がすべてを相続することも、全員が均等に分けることも、合意さえあれば可能となります。
これは、紛争の防止や公平性の観点から定められた合理的なルールなのです。
なお、被相続人が生前に遺言を残していた場合は、その内容が優先されます。
遺言は故人の最終意思として尊重されるため、原則として法定相続分よりも強い効力を持ちます。
ただし、一定の範囲の相続人には「遺留分」という最低限の取り分が認められており、これを侵害された場合は請求をすることで権利を守ることができます。
つまり、法定相続分は「絶対的なもの」ではなく、あくまでも遺言がない場合の基本ルールにすぎないのです。
実際の相続手続きの現場では、相続人同士の事情や気持ち、これまでの関係性が深く影響し、法律だけでは割り切れない場面が多くあり、話し合いがまとまらないまま時間が経つと、資産の管理や手続きが進まないだけでなく、家族間の感情的な溝がさらに深まるおそれもあります。
だからこそ、適切な手続きや専門家のサポートが、円満な相続にとって極めて重要となります。
アシスト合同法務事務所では、公正かつ円滑な手続きをサポートするため、遺産分割協議書の作成も承っています。相続でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

