相続人間のトラブルを避けるために ~葬儀費用の支払いについて~

相続手続きのご相談の中でも、「葬儀費用を亡くなった方の銀行口座から支払ってよいのか」「すでに引き出してしまったが問題はないか」といったご質問は非常に多く寄せられます。葬儀は突然訪れることも多く、費用の支払いについて判断に迷われる方が少なくありません。

そこで本コラムでは、葬儀費用と故人名義の銀行口座の取扱いについて、注意すべきポイントを整理します。

まず、技術的な話として、亡くなった方の銀行口座は、銀行が名義人の死亡を確認した時点で凍結されます。しかし、凍結前であればキャッシュカードと暗証番号を利用することで、物理的には引き出しが可能です。

ただし、これは許される行為とは限りません。名義人の意思に基づかない引き出しは、たとえ善意であっても「勝手に持ち出した」と判断され、法的問題に発展する可能性もあります。

相続手続きにおいて最も重要なのは、「名義人本人が納得していたか」という点を、相続に置き換えると「相続人全員が内容を理解し、納得しているか」という点です。

たとえ葬儀費用のためであっても、相続人の理解を得ずに口座から現金を引き出してしまうと、不信感を招き、その後の遺産分割協議に大きな支障となりかねません。

すでに葬儀費用として口座から支払ってしまった場合には、できる限り透明性を確保することが重要です。通帳の記帳やATMの利用明細、そして葬儀社からの請求書・領収書などをそろえ、「いつ・何のために・いくら」引き出したのかを明確にしておきましょう。

これらの記録があることで、他の相続人にも正当性を説明しやすくなり、後々のトラブル防止につながります。

相続は、金銭的な問題よりも、相続人同士の感情の行き違いから紛争が生じるケースが多いと言われています。

葬儀費用の支払いという急を要する場面だからこそ、可能な限り事前に相続人と相談し、理解を得て進めることが、円滑な相続手続きにつながる大きなポイントです。

相続に関するお悩みや不明点がございましたら、どうぞお気軽にアシスト合同法務事務所までご相談ください。

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